介護現場のハラスメントは深刻な社会問題となっています。利用者及び家族からのハラスメントにより介護職員は離職していきます。特に訪問介護の人材不足を深刻化させた大きな一因は、利用者家族からのハラスメントが原因だと私は考えています。
これから日本は、さらに介護人材不足が深刻になります。
ハラスメントの現状
①特養
埼玉県の特養、空ベッドのある特養が何件あると思われますか?
全部で何ベッド、県内に空きがあると思いますか?
待機者は何名いますか?
ネットで調べてください。すぐに答えはですので。
もっと具体的に、いなほの里の待機者は常時50名程度ですぐに入所を希望する方がほとんどです。待機者数を聞いて、申し込みされない方もいます。
近隣の特養A、待機者ゼロです。すぐ入れます。
近隣の特養B、待機者ゼロ、従来型(利用者負担の低いタイプ)、先週の話で15名分空きがあると。
空いているのに使えない理由は、介護人材が足らないので、入所してもケアする人がいないので入所することができないのです。
これが介護人材不足の現状です。
今いる職場しか見えていないと、介護人材不足の状況が見えないと思います。
これが現状です。
②訪問介護
この2年間で何件廃業したと思いますか?
訪問介護が必要にも関わらず、受け入れる事業所がない方が何名いると思いますか?
ネットで調べてください。
もっと具体的に、いなほの訪問介護で9月に新規の依頼が20件以上ありました。
原因はこの地域の事業所の縮小です。
いなほの訪問介護は、常勤が3名います。
それでも新規依頼を全部は受けられるはずがない。
営利法人のならマーケットと考えてどんどん出店ということになると思いますが、訪問介護事業所が新規オープン予定と求人して、実際にオープンできたところがいくつありますか?ありませんでしょう?
ちなみに、一番ハラスメントの被害の多いのが訪問介護です。利用者家族及び利用者です。
介護保険における本人負担額はどんどん増える。施設は利用料がどんどん上がる。
結局ほとんどの方が施設ではなく、在宅サービスの介護を受けるしか選択肢がなくなる。
にも関わらず、ハラスメントで一番担い手を失ったのが日本の訪問介護です。
日本は小規模多機能、看護小規模多機能、定期巡回、在宅医療、訪問看護、訪問調剤、などとにかく訪問で少子高齢社会を支えようと考えています。 全て訪問という機能です。ハラスメント対策が”ハラスメントの根絶”のレベルで行われない限り、担い手は増えません。
ハラスメント対策の現状
このような現状を深刻に受け止めた厚労省は昨年度調査を行いました。検索してみてください、「介護 ハラスメント」で。想像を超える調査結果です。しかも把握できているだけで、です。
各事業所がことの重大さをしっかりと認識し、ハラスメントを根絶する姿勢を見せなければ、介護サービスの提供量は需要に対し、今以上に不足します。
日本介護クラフトユニオンは、2019年「ご利用者・ご家族からのハラスメントに関する集団協定」を結んでいます。こういう時代です。
今までは利用者・利用者家族との信頼関係で成り立っていた介護業界で、契約解除等でどれだけ弁護士さんが活躍されていると思いますか?
どれだけの法人や施設や事業所に顧問弁護士さんがついていると思いますか?
今時、契約書や重要事項説明書は弁護士さんがチェックしないなんてことはないでしょう?